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第三十二回 「女ごころの最後の悪あがき」

顔のパーツがそれぞれ残念であり、
その配置もうまくいっていないという
私のような残念おへちゃは、
せめてその配置がされているお肌だけでも
なんとかするしかない。
パーツのかたちや配置は変えられないが
土台はお手入れ次第でなんとかなる。

がさがさ、しわしわの土台に、
残念なパーツが、残念なかたちで配置されていたら
もう救いようがないので
最後の悪あがきをする女心。

パーツも配置も、お肌も美しい人に
お肌の手入れの秘訣を訊ねても
「特別なことはしてないのよ」とか
「洗いっぱなしで、せいぜい化粧水をつけるぐらい」などと
お茶を濁されてしまう。
20代前半までならいざ知らず、
私と同世代にもなって、
そんな雑なことをしていたら
間違いなく洗顔後のお肌は
かっさかさになるはずなのに。

なぜ、美人は秘訣を教えてくれないのか。
残念おへちゃが、自分たちの真似をしたところで、
焼け石に水、ムダだとでもいうのだろうか。
教えてくれたっていいのに。…けち。

その点、残念おへちゃ同士は心が広い。
試してみて良かったものは、
情報を共有して
みんなでなんとか美しくなろうという
博愛精神にあふれている。
というわけで、私も愛用品を公開。

シートパックは、高価なものをたまに使うより、
安価なものを毎日使う。
セサミンは、
1ヶ月分無料キャンペーンに応募して飲み始めた。
洗顔は、専用ホイッパー
「awa hour(あわわ)」で
生クリーム状の泡をたっぷりつくって
包み込むようにして洗う。
蒸しタオル用に鼻の穴をくりぬかれたタオルは、
友人からのプレゼント。
ニベアは、かなりの優れものだ。
ナイトクリームだけは
そこそこのものを使っていたのだが、
友人の薦めもあって、
それをニベアに変えてみたところ、
まったくなんの遜色もなかった。
ナイトクリームだけではなく、
入浴中のパックにも使える。
週に1度、ニベアをたっぷり塗って10分放置。
あとは、クリームを
濡らしたコットンで拭き取って洗顔。

写真に撮り忘れたが
ゲルマニュウムローラーも使っている。
効果のほどはよく分からないが
手軽なので、テレビを見ているときなどに、
顔面をころころしている。
血色がよくなるような…気がする。

ローマは1日にして成らず。
日々の努力の積み重ねで、
なんとか人並みのこざっぱり感を演出しようと
日々精進しているのである。

最近はようやく、これらの合わせ技で
なんとかお肌の状態が良くなって来た。
年齢のわりには、お肌がきれいだと言われるようになり、
ほっと胸をなでおろしているところである。

しかしだ。
今の状態は、これらすべてのものの合わせ技。
実際のところどれが効いているのか、
どれが効き目がないのか分からない。

どれかが欠けたら、
また元の木阿弥かもしれないと思うと、
うっかりサボるのが怖ろしい。

そんなわけで、
入浴中、入浴後の私はやたら忙しい。
顔のお手入れのほかに、
ボディークリーム、ハンドクリーム、
かかとの手入れ、爪の手入れもしなければならない。
エステに通う余裕がないので、
すべて自分でなんとかしなければならない。
あちこちがクリームでぬらぬら。
正直、面倒くさい日もある。

でも、どれもこれもやめられない。
セサミンは、これでなかなかイイ値段なので
先日飲みきったところで
購入を控えている。
それで、お肌の調子が悪くなったとしたら
セサミンがかなり良い仕事をしていた
ということになるかもしれない。

そんなふうにして、
ひとつひとつやめていって、
何が自分に本当に必要かを精査すれば
いいのだろうが、
結局その勇気がなくてやれることを全部
やっているというわけである。

多分、美魔女とか呼ばれている人たちは
これらの何十倍のお金と手間ヒマを
お手入れにかけていることだろう。
そしてそれを
「特別なことは何もしていないんですよ」と
しれっと言っているのだろう。
白鳥が水面では
優雅に進んでいるかのように見えるが、
水面下では必死に足をばたつかせているように。

残念おへちゃのお肌がしわしわだろうが、
かかとががさがさだろうが、
誰も気にしないのかもしれないが、
まだしばらくは、こうして抗い続ける日々は続きそうである。

- Profile -

東 千絵

東 千絵 (ひがし ちえ)

「プロダクション・アーニング」代表。CM・番組ナレーション、イベント出演、司会、映画・ドラマの方言指導などを手がけるかたわら、地元の演劇集団K-CATに所属。
電子書籍「そうだったのか、日本食」など、ライターとしても活躍の場を広げている。

バックナンバー

8月1日 第三十五回 「命の終わらせ方」
7月1日 第三十四回 「お酒と私」
6月1日 第三十三回 「千里の道も一歩から」
5月1日 第三十二回 「女ごころの最後の悪あがき」
4月1日 第三十一回 「ドラマオーディション体験記」
3月1日 第三十回 「逃げ道が見つからないので、きんかんの甘露煮」
2月1日 第二十九回 「そのドアを開けてはいけない」
1月1日 第二十八回 「正月支度」
12月3日 第二十七回 「劇処 シャッフルステージ」
11月1日 第二十六回 「乗っかりそびれたハロウィン」
10月4日 第二十五回 「女って、生きているかぎり闘い続けるものなのよ」
9月3日 第二十四回 手塩にかけたナレーターたちのデビュー
8月1日 第二十三回 大人、大人、言いすぎじゃないの?
7月5日 第二十二回 靴が見つからない
6月8日 第二十一回 地獄の抑止力
5月3日 第二十回 最後まで笑顔
4月3日 第十九回 桜を見ずに逝った人
3月1日 第十八回 うるう年の薔薇
2月1日 第十七回 奥手な女子の初バレンタイン
1月2日 第十六回 愛しの近江町市場
12月1日 第十五回 どのツラさげて
11月1日 第十四回 結婚式の思い出
10月1日 第十三回 輝きの秘密は、言わぬが華
9月1日 第十二回 魔女と仙女と魔法使い
8月1日 第十一回 去っていった古女房
7月1日 第十回 恥ずかしかった誕生日の夜
6月1日 第九回 撮影裏ばなし
5月1日 第八回 歌うシンデレラと、歌えない仙女
4月1日 第七回 台湾、満喫、満足、満腹の旅
3月1日 第六回 熟年サラリーマンのプラトニックラブ
2月1日 第五回 報われないけど、やり甲斐のある仕事
1月1日 第四回 泣きたいときは泣いてもいいのか
12月2日 第三回 持てあました、夢見る権利
10月30日 第二回 煙草とトワレ
10月1日 第一回 ヒロインはいつもリカちゃん