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第三十一回 「ドラマオーディション体験記」

先日、GOLOTドラマプロジェクトのオーディションを受けてきた。
石川県で年内に放送されるテレビドラマの
メインキャスト選考のためのオーディションだ。
GOLOTというのは、このサイトを運営している
stackpicturesの荒川氏が中心となって、
テレビ番組の企画制作を行う集団。
これまで、南海キャンディーズの山里さんをお呼びして、
石川発のバラエティ番組
「山里直電」を制作している。
そのGOLOTが、石川発のテレビドラマを企画した。

これまで、東京の制作会社の石川ロケのお手伝いで
台詞が少しあるエキストラ役を紹介したり、
自分がちょっと出演したり、方言指導をしたり
という関わり方はしてきたけれど、
地元スタッフと地元キャストで、
石川発のドラマを制作するというのは初めてだ。
しかも、台本は応募者の顔ぶれを見たうえで
あて書きをするという大胆な企画。
審査員は、荒川氏のほかに、
NHKドラマ「スリル!赤の章・黒の章」の脚本家徳尾浩司氏
小泉今日子さんと安田顕さんの舞台
「日本一の大悪党」のプロデューサーを担当した関根明日子氏。

これは、面白いことが起きるに違いないという
野生の勘(笑)が働いて、うちの事務所からも
私を含めて7名応募することにした。

これを書いている時点で、まだ合否の連絡はないが、
皆さんがこれを読んでいる頃には
結果が発表されていると思う。
あて書きするとはいえ、求められているのは
イケメンの若い男の子や、
アイドルっぽい可愛い女の子だろう
ということは予想される。
しかし、イケメンとアイドルだけではドラマは成立しない。
きっと、太めのおばちゃんがはまる役どころもあるはず!
と、物怖じせずに挑戦することにした。

数人のグループにわけられて、自己紹介のあと、
ちょっとしたワークショップと、持参したテキストの朗読、
簡単な質疑応答。
1時間弱の内容だった。

私は6人グループに振り分けられたのだが、
6人中3人はよく知った顔で、
控え室でオーディションの順番を待つ間も、
なごやかに話しができて、
余計な緊張をすることもなかった。

とはいえ、こういうかたちのオーディションを受けるのは
初めてに近い。
私がこれまで受けてきた仕事関係のオーディションも、
舞台関係のオーディションも、
審査するのはよく知った
ディレクターやプロデューサー、演出家だった。
すでに、私のことを理解したうえでの審査。
気負うこともなく、平常心、自然体で臨んできた。
そして、落ちることはほとんどなかった。
とある映画のオーディションは、
見知らぬ監督になんとか気に入られようと
自己アピールが強すぎたのか、
初めて落とされた。
これは、かなりへこんだ。

というわけで、今回は同じ失敗を繰り返さないためにも
あまりがつがつせず、
いつもどおりの自分でいるのが目標だった。

グループ6人で話合い、協力するワークショップも、
他の皆さんのおかげでスムーズに進み、
自分のテキストの朗読もいつもどおり。
あとは質疑応答。
「どういう役柄を演じてみたいですか?」との質問に
「主人公の行きつけの小料理屋の女将さん。
愚痴をきいたり、励ましたり、
結構いいことも言っちゃうみたいなのがいいですね」

ここまでは良かった。
そのあと、徳尾氏がいきなり
「では、絶対はずさない占い師役と、
30歳の男と新婚生活を送る熟年女性役と、どっちがいいですか?」
というどっちもなかなか
想像しにくい設定を持ち出してこられた。

しばし考えたのち、「新婚の熟年女性役です」と答えたら
「では、荒川さんが『ただいま』と帰ってくるので、
ちょっとやりとりしてみてください」
という予想外の展開。

他の参加者も似たような質問をされていたけれど、
ちょっとやってみてくださいはなかった。
うむむむ。
荒川氏とは知らない仲ではないだけ、
よけいやりにくいったらありゃしなかった。

終わってみれば、もっとああ言えばよかった、
こうすれば良かったと思うけれど、
あとの祭り。
あると思っていた瞬発力のなさに、
ちょっとがっかりしたのであった。

さて、結果はどうなんだろう。
たとえ、出演できなくても、
石川発のオリジナルドラマ、視聴者としても楽しみだ。

皆さまも、ぜひご覧下さいませ。

- Profile -

東 千絵

東 千絵 (ひがし ちえ)

「プロダクション・アーニング」代表。CM・番組ナレーション、イベント出演、司会、映画・ドラマの方言指導などを手がけるかたわら、地元の演劇集団K-CATに所属。
電子書籍「そうだったのか、日本食」など、ライターとしても活躍の場を広げている。

バックナンバー

10月1日 第三十七回 「またね!」
9月1日 第三十六回 「苦手は、悪知恵で乗りきった」
8月1日 第三十五回 「命の終わらせ方」
7月1日 第三十四回 「お酒と私」
6月1日 第三十三回 「千里の道も一歩から」
5月1日 第三十二回 「女ごころの最後の悪あがき」
4月1日 第三十一回 「ドラマオーディション体験記」
3月1日 第三十回 「逃げ道が見つからないので、きんかんの甘露煮」
2月1日 第二十九回 「そのドアを開けてはいけない」
1月1日 第二十八回 「正月支度」
12月3日 第二十七回 「劇処 シャッフルステージ」
11月1日 第二十六回 「乗っかりそびれたハロウィン」
10月4日 第二十五回 「女って、生きているかぎり闘い続けるものなのよ」
9月3日 第二十四回 手塩にかけたナレーターたちのデビュー
8月1日 第二十三回 大人、大人、言いすぎじゃないの?
7月5日 第二十二回 靴が見つからない
6月8日 第二十一回 地獄の抑止力
5月3日 第二十回 最後まで笑顔
4月3日 第十九回 桜を見ずに逝った人
3月1日 第十八回 うるう年の薔薇
2月1日 第十七回 奥手な女子の初バレンタイン
1月2日 第十六回 愛しの近江町市場
12月1日 第十五回 どのツラさげて
11月1日 第十四回 結婚式の思い出
10月1日 第十三回 輝きの秘密は、言わぬが華
9月1日 第十二回 魔女と仙女と魔法使い
8月1日 第十一回 去っていった古女房
7月1日 第十回 恥ずかしかった誕生日の夜
6月1日 第九回 撮影裏ばなし
5月1日 第八回 歌うシンデレラと、歌えない仙女
4月1日 第七回 台湾、満喫、満足、満腹の旅
3月1日 第六回 熟年サラリーマンのプラトニックラブ
2月1日 第五回 報われないけど、やり甲斐のある仕事
1月1日 第四回 泣きたいときは泣いてもいいのか
12月2日 第三回 持てあました、夢見る権利
10月30日 第二回 煙草とトワレ
10月1日 第一回 ヒロインはいつもリカちゃん