10月8日が初日の
「ドラマリーディング 血の婚礼」の稽古まっただなか。
ドラマリーディングなので、
台本をもって演技をするため、
台詞を覚える必要はない。
本格的な舞台セットを組んだり、
小道具を使ったり、
ばっちり衣裳に身を包むこともない。
ふつうのお芝居と違い、
複雑な動きの段取りもない。
え?じゃあ、楽勝じゃん。簡単じゃん。
てか、それ手抜きなんじゃないの?
そんな、立ち稽古みたいなもん、
お金とって見せるわけ?
そんなふうに思われる方も多いかも知れない。
いやいや、ドラマリーディングには
べつのハードルがある。
リアルな舞台セットや小道具や衣裳がないため、
役者の台詞のことばの力だけで、
観客に多くのことをイメージしてもらわないといけない。
台詞が本来持つ、ことばの力を
観客に充分に堪能していただく…
それがドラマリーディングならではの
醍醐味だと思っている。
今回は、バックにオリジナル楽曲を
ピアノの生演奏でつけるし、
照明もかなり凝ったプランになりそうだ。
リアルなセットは組まないものの、
象徴的な舞台美術を組むことにもなっている。
それらは、芝居において額縁のようなものだと思う。
額縁がしょぼいと、
せっかくの作品もしょぼく見えてしまう。
私の所属する演劇ユニット K-CATでは、
その額縁はいつもとても素晴らしい。
額縁に助けられてきたところが大きい。
しかし、額縁ばかり立派で、
肝心の作品がしょぼいと、
これはとてもみっともないことになる。
そうならないように、必死である。
血の婚礼は、19世紀はじめのスペインの旧家の話し。
実話をもとに書かれた戯曲。
婚礼の日に、元カレと逃げちゃう花嫁。
元カレには奥さんと子どももいる
しかも、奥さん二人目を妊娠中。
さぁ、残された者たちは…という内容。
書かれている台詞は、
重厚で詩的なのだが、
内容は現代にも通じる普遍的なものだ。
私は、花嫁に逃げられちゃう花婿の母親役。
夫も、長男も殺されたという
悲惨な過去をひきずりながら、
女手ひとつで家を守り、
残された次男坊の花婿を溺愛している母親だ。
メインは、花嫁と元カレと花婿なのだが、
母親は登場シーンも多く、
台詞も多い。
しかも、冒頭とラストシーンで
いっぱい喋っている。
自分が芝居を観るとき、
冒頭10分で、だいたいの感じをつかむ。
そこに引きこまれなかったら、
「ああ、これダメかもなぁ」と思ってしまう。
演出家も、毎回とても丁寧に
冒頭のシーンを創る。
先日の稽古でも、数行ごとに細かいダメだしをもらった。
シリアスな役が苦手だ。
K-CATのこれまで8回の公演のなかで、
シリアスな役を演じたのは、2度だけ。
若い頃の過ちで産んだ子どもを
遠く離れた他人に預けている芸者と、
お堅いミッションスクールの女教頭。
どちらも、大変苦労した。
それ以外は、シリアスの対極にある役ばかり。
陽気な未亡人、おしゃべりな女中、頭の弱い道化、
腹黒い後妻、でしゃばりな仙女。
そのうち、道化と後妻と仙女は、
出落ちか!とつっこれるような
(実際つっこまれた)
派手な衣裳に助けられた。
こういう役は、楽しくて面白くておいしい。
さて、今回はどうしよう。
いろいろ頭を悩ませているところである。
こういうときは、
劇中で好きな台詞を見つけて、
そこへむかっていくことにしている。
「女って、生きている限り闘い続けるものなのよ」
この台詞がしっくりくる女性像を
創っていけばいいのかもしれない。
いま、闘いのまっただなか。
皆さま、どうか
ご来場くださいませ。
「血の婚礼」
金沢市民芸術村 pit2 ドラマ工房
10月8日(土)14時~・19時
10月9日(日)14時~・19時
10月10日(祝)11時~
チケット 一般 千円
高校生以下 500円
チケットのお求めは
金沢市民芸術村事務所 または K-CATホームページ
または、私までメッセージくださいませ!

- Profile -
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東 千絵 (ひがし ちえ)
「プロダクション・アーニング」代表。CM・番組ナレーション、イベント出演、司会、映画・ドラマの方言指導などを手がけるかたわら、地元の演劇集団K-CATに所属。
電子書籍「そうだったのか、日本食」など、ライターとしても活躍の場を広げている。